女性五人の名前の五つの章からなる家族小説。
登場人物の相関関係に悩むのはいつものこと。
読み終えて、あああの人はこの人の娘だったのねと腑に落ちる。
ところどころにぐさりとくる言葉を見つける。
新年になることもいつも通り今日から明日になる感じと若い仕事仲間に言うと
「それは明らかに老化現象で、怖がりなんですね」 と言われる。
やだ、年明けをいつもと同じで日付が変わるだけと思っているワタシも怖がりだったんだ、と妙に納得してしまう。
70歳まで旅館の仲居として働いていて、82歳になった今も背筋まっすぐ、動きがややゆっくりになったものの悪いところは今のところはないのは、かつて先輩から教えられた
関節をひねるから痛みが来るのだ。
歩くときも階段の上り下りも関節の向きに忠実に。
無駄に体をひねったり、身の丈身幅を考えずに動かない。
を忠実に守ってきたおかげだ。
(これ、ワタシも肝に銘じなきゃ。)
そんな丈夫な体が自慢の彼女は娘から縁を切られてしまう。
まさに、「家族じまい」な流れのようだけれど、
簡単に切れておしまいにならないのが家族です。
朗らかな読書にはならなかったのは、
小説の中の登場人物の誰にもなりたくない。
それなのに
どこかに 似たようなざらつきを
感じたからでしょう。
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