「よく来てくれたわね~。」と言い終わらないうちに「それ何?」と私の胸元のブローチへ手を伸ばすHapoさん(母) 今回もブローチに目がとまったようで、何よりなにより^-^
ブローチを外して手渡すと「猫?」
そうね、猫のブローチを前にもつけてきたものね。
でも違うのよ。ハートに見えないかな?
「出っ張ているところが耳だと思ったのよー」
たしかに、そうね。 そう見えるわね。
「ああ。でも可愛いわね~。いろんなボタンをつけてキラキラしていいわね~」とボタンひとつひとつを撫でています。
可愛いもの大好きだものね。今日はほかにもあるのよ。と折り紙のカーネーションを渡すと
「あら~。素敵。私もこの間こういうの折って作ったわよー。廊下のどこかに飾ってあるかもしれないから帰りに見ていってね。」
それは、楽しみです。
「ボールペン」と、とつぜん言うHapoさん。
便りを書きたいからボールペンがいるのよね?
「そうそう。持ってきてくれた?」
もう二カ月も前に渡して引き出しに入れてあるのだけれど、自分で引き出しを開けないからね~と思いながら出してあげると、
「あら~、今気づいたわ。ここに入っていたのね。これでお返事書けるわね。」
うれしいなぁ~。返事を書いてくれるのね。 届くの楽しみにしているね。
手にしたレターセットのケースをオットに手渡し、引き出しに仕舞っておいてと頼みます。
そのそばにワタシが出した絵手紙の束があったのでそれを取ってとワタシが頼むとその一番上の一枚を手にしたHapoさんが
「これ、清里の景色よね。nokoちゃんをバイクの後ろに乗せて一緒に行ったのよね。 それとも白い車で行ったのかしら。」
どちらも正解。バイクでも車でも、一緒に行ったのよ。
「そうね~。nokoちゃんをバイクに乗せたくて2輪の免許を取りに行ったのよ。そんなことする母親は他にはいないわよー。」と誇らしげにいいます。
そうね、受験前の娘を乗せて夏休みにバイク旅行する親はHapoさんしかいないわね~。
「そうそう、清里行ったのよー。バイクに乗って~。」と嬉しそうに絵葉書を眺めています。 もう47年も前のことなのに覚えていてくれることがとても嬉しいな~。 ワタシにだって大切な思い出ですもの。 バイクの後ろに乗っているワタシが居眠りしちゃってコツンとヘルメットがHapoさんにあたって慌ててバイクを停めて喫茶店で休憩したよね~。 と話が盛り上がります。 それをニコニコと聞いているオット。
その葉書の文面にはそのひとつ前に出した葉書に書いたクイズの答えが書かれています。 それで、そのクイズの書かれた葉書も見せて答え分かった?と聞くと
「すぐにわかったわよー。黒柳徹子さんでしょ~。」
Hapoさんへの絵手紙は季節の花を描いているのですが、たまには違うものをと思い、芸能人の似顔絵を描いて「誰かわかるかな~」と出していたのです。
「玉ねぎ頭のトットちゃん、黒柳徹子さんね。」と即答でした。 ワタシの描いた下手な似顔絵でも分かってもらえてほっとしました。
そんなこんなで10分の面会時間の終わりを告げに看護師さんが来ると時計を見たHapoさんが、「時計が友達なのよ。 時計が時間を知らせてくれて、一日が過ぎていくのよ。」とポツリといいます。
「面会時間、もう終わりなの?もっと居てくれたいいのにね。」と残念がります。
オットもワタシもしんみりしちゃったけれど、それぞれがHapoさんと「握手でバイバイバイ~♪」をしてまた来るからね~と言って病室を後にしました。
この日もしっかりと握手をしてくれたHapoさんでした。
看護師さんに母の作った折り紙のことを聞くと、リハビリ担当者ならわかるのですが、と作品の保存場所はわからない様子なので、また機会があったら見せてくださいと伝え病院を後にしました。
嬉しさと切なさがごちゃまぜになる面会時間を終えました。
Hapoさんも寂しがっているかな?というと、オットは「これからおやつの時間だから大丈夫だよ」といいます。 そうね今頃あま~いおやつをペロリと食べて満足しているわね~。 それでは私たちもお茶して帰るとしましょうか♪