あるドキュメンタリー番組でインタビューされていた50代後半の女性。
SNSで話題のとある桟橋を友達とともに観にきていた。
結婚してからつい最近まで義理のご両親の介護をされていたという。
「私、むかし1、2回 家出をしたことがあるんです」
3人の子供をおんぶして抱っこして手をひいて家を飛び出したものの、500mのところで立ち止まりそこから先へは行けず「お義母さんのおむつを替えなきゃ」と思って家に戻ったそうです。
たった500mの距離を、その出来事を、「家出した」というその方の心を思うと涙がでてきました。
取材の日は友達とにこやかにされていましたが、その姿の奥にもさまざまな思いが積み重なっているのでしょう。
介護に限らず、生きていれば「ことば」にできないことや思い余る事は多々あります。
それをどう乗り越えて、消化していくのか、いけるのかは人それぞれだと思います。
私も黙って家を出て、高速に乗ってただ車を走らせたことがありました。
それが解決になったわけではないけれど、その時間は必要だったのだと思っています。
距離ではなくその時間。
それらを通過してきたからこその今なのです。