老母の握力

介護の入り口。老母(ローボ)と老娘(ロームス)のつれづれ。

親心、子心

Hapoさん(母)が退院・転院の日、

三兄夫婦と一緒に4人でHapoさんを迎えに行きました。

 

三兄さん、2020年8月いらいの登場です。

hapo-mina.hatenablog.com

 

Hapoさんは、我が家の車に乗ってもらうので

オットは車を病院のエントランスへ横づけするために車内で待機し、

病棟へは三兄夫婦と3人で行きました。

 

病棟受付前でしばらく待つと、Hapoさんが車椅子に乗ってやってきました。

すかさず三兄(三男)を見つけ

「あら~、来てくれたの、悪いわね~」と言いながら喜んでいます。

その間に、看護師さんから転院に必要な書類の説明を聞いていると

Hapoさんが「”大”したくなっちゃった」と言います。

えっ? 服を着替えてさぁ~出発~というところなのに、

看護師さん苦笑いで

「じゃあ、ちょっとトイレへ行きましょうね~」と

病室へ戻っていきました。

 

しばらくして戻ってくるとHapoさんはすっきりした顔ですが、

看護師さんがちょっと下を向いています。

何かあったのかな?と聞いてみると、

「お母様が胸のところにお手紙を持っていらしたんです。」と言います。

それを聞いて、「ちょっと見せてね」とHapoさんの服をめくると

ズボンのゴムのところに手紙をはさんで服の上から手で押さえています。

5日前に渡した手紙をお守りのように持っていました。

 

「これ、大事な手紙だから、持っていくの。」

 

それを聞いて、(これを書いている今も)涙がぽろり

看護師さんもちょっとしんみりされていたのです。

 

「いざ、退院となると、なんだか寂しいわね。

 お世話になりました。ありがとうね。」とその若い男性の看護師さんへ

声をかけるHapoさん。

 

車への移乗をその看護師さんにお手伝いしてもうため一緒に駐車場へ行き、

ワタシからも「本当にお世話になりました。ありがとうございました。」と言うと

「いえいえ、こちらこそ ありがとうございました。

 今よりお元気になられることを願っています」と送り出してくださいました。

Hapoさんも横になった姿ですが、手を振っています。

 

四カ月以上の入院生活ですっかり様子が変わってしまったHapoさんですが、

コミュニケーションがとれることが救いです。

 

さて、車が走り出してしばらくするとHapoさんが

「Y江さん(三男の妻)はどこにいるの?」と聞いてきます。

 

 

車は2台で、後ろの車にT兄さん(三男)と乗っているのよ。と伝えると

「じゃあ、この車を運転しているのは誰?」

 

「え~ オットくんだよ~」と答えると

 

「え~そうなの? T(三男)かと思ってた。

 じゃあ、TとY江さんは別の車なのね。」

 

車に乗る前にオットと挨拶を交わしていたのに、、、。

オットの影うすし、、、。

病棟へは3人で迎えに行ったので今日の登場人物は3人で、

この車に乗っているのが、ひとり(Y江さん)足りないと心配していたようです。

 

その後、有料道路の料金所を通るたびに

「うしろの車(三男)にお金渡してね。」と言います。

遠くからわざわざ来てくれたのだから車代を渡したいという親心のようです。

 

このあとサービスエリアで休憩するからその時に渡すからと言うと

「必ず渡してね」と念を押します。

 

そしてサービスエリアに着いて三男の顔をみるとすぐに

「もうっとくに(先に)渡していたと思っていたのに、

 nokoが気が利かないから。車代のお金もらってね。」と言うと

 

「お金なんかいらないよ。そんな心配しなくていいんだよ。」と答えても

 

「もう、とっくに、、、、」と同じことを繰り返します。

 

そこで、ワタシがHapoさんの目の前でお財布を開き、

お札を出してT兄へ渡しました。

 

「お~そうか。悪いなぁ。 Hapoさんありがとうなぁ。

 ありがたくもらうからなぁ~」と自分の財布へしまいました。

 

「先に渡しておかなくて悪かったねぇ」と言いながらも

それを見てやっと安心したようです。

 

それからおやつを食べたりしながら過ごしていると

 

「T(三男)にいくら渡したの?」と聞いてきます。

 

掌を広げて「5万円」というと、

「それで、足りたかね。遠くから来てくれたんだからねぇ」と心配しだします。

 

「大丈夫、足りるよ。ありがとうって感謝していたでしょう。」

 

「そうだね、それくらいで大丈夫だね。」と今度こそ納得、安心のご様子です。

 

T兄が受け取ったお金を後からこっそり戻してくれたのは、

Hapoさんの知らぬこと。

 

転院への道のりは、

親心、子心が交差するドライブでした。