おれにんげんたち デルスー・ウザラーはどこに
岡本武司/著
池内紀さんの「本は友だち」で紹介されていた本を読みました。
過去の記事にも書いていたデルスー・ウザラーのこと。
著者の岡本武司氏はデルスー・ウザラーに魅力を感じ
ロシア語を学び定年後ウラジボストクへ渡り
先住民について調査し「デルスーはどこだ」という本書の原稿を残して
急逝し、わずか2年のロシア留学で定年後の生活の幕が閉じられた。
その生きざまがデルスーに重なるような気がしてならない。
長谷川四郎氏・訳では「デルスウ・ウザーラ」と呼ばれているが
本書の中では現地に従い「デルスー・ウザラー」と表記されている。
”ナナイ人(=ゴリド人)のウザラー部族に属するデルスー”という意味を持つ。
そのデルスーがなぜに、そんなにも魅力的なのか。
映画の中で描かれた人物像にここまで引き寄せられるのか。
デルスーはひょっとすると居なかったのかもしれないという
疑問を出発点にして調査をはじめて、
結論は「やはりデルスーはいた。」
地元の人たちは、創作も加わっていることを承知のうえで
彼を愛して尊敬している。
そういう意味で彼は実在する。
映画でも描かれていたデルスーが街での生活で
2カ月ほどのあいだ一緒に暮らした探検家の息子が
後年デルスーと一緒に過ごした日々について書いたエッセイが紹介されていた。
それはこういう書きだしではじまっている。
「ほんの子供のころの記憶で生涯ずっと残るものがあるものです。
思い出は忘れられてゆき、遠い昔のこととなりますが、
今も生き生きとしているものがあります。
これは、デルスーについての思い出のひとつです。」
デルスーに魅力を感じる人誰れしもにこの思いがあるのかもしれない。
私もまた デルスーは、今も心にのこる思い出になっています。
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