野原に花が咲くような牧歌的なお話しだと思っていたんです。
横浜・山手のミッション系お嬢様学校に通うふたり
のの=野々原茜
はな=牧田はな
が毎日のように交わした手紙=通信のお話しです。
最初の日付は昭和59(1984)年5月26日 速達)
この時二人は高校2年生。
最後の手紙の日付は2011年4月30日。
女子高生のふわふわとした感情もあるけれど、
読み進めるうちになかなかの内容になって途中ひるんでしまうほど。
それにしても毎日学校で会っていても
まだ話したりなくて手紙を出し合うって~。
箸が転んでもおかしくて、話は尽きないお年頃が伺えます。
途中、二人の関係が途絶えるものの
メールでのやりとりが再開、
そして終盤は再び手書きの手紙に変わっていく。
その過程での二人の関係性を通じてジェンダー平等や多様性
世界情勢のことも描かれていて
ひるんでばかりはいられませんでした。
それにしても「ののとはな」は未練がましいな~。
恋も愛も大事。
思い出も大事。
今に足りないものを過去に求めるよりも
未来に見つけ出すほうがいいのに。
もしかしたら、
この二人はお互いの存在が
未来そのものだったかも。
初出は2012年1月。
時代の流れを反映した作品だと思いました。
手紙文学作品を続けて読みましたが、
手紙が題材になっていなくても
小説はそれを書いた作家からの
心のこもった手紙ですね。
それに返事を書きたくて”感想文”を
書きたくなるんだと思いました。