満面の春がこぼれました。
船田玉樹の「花の夕」に会ってきました。
12年ぶりの再会は、初恋の人に会ったようにドキドキしました。
展覧会のフライヤーにも使われているので多くの人が立ち止まり鑑賞しています。
私はその前にあるスツールに座ってしばし眺めて、屏風の左右から眺めて、距離を置いたり、近寄ったり、ずいぶんと怪しい人になりながら観ていました。
緋色の鮮やかさ、ダイナミックさからか「ライブペインティングみたいに絵の具をバッーと塗りつけたのかしら?」という声が聞こえてきます。
それぐらいの大胆さがありますが、違うんですよ。ひとつひとつの花にちゃんと輪郭があります。 ゆるやかな丸の中のにじみに花びらの重なりを感じます。 左右からゆっくり歩いて見ると枝が風に揺らいでいるようにも見えます。 題材は桜ではなく、桃のようですが春のエネルギーとはかなさも感じるのは満月が一緒に描かれているからかもしれません。
次に会えるのはいつになるかしら。
個人蔵だったものが、寄贈され東京国立近代美術館蔵になったのでこれまでよりも目にする機会が増えるかもしれません。
絵に会いに行く楽しみを教えてくれた大切な一枚です。