老母の握力

介護の入り口。老母(ローボ)と老娘(ロームス)のつれづれ。

わたしの名前は奈津子

Hapoさん(母)は映画好きです。

 

特に洋画が好きで、

ロナルドコールマンの「心の旅路」や

ローレンスオリヴィエの「黄昏」のような

メロメロのメロドラマが大好き♪と言っています。

 

映画館で映画を観る。

それがささやかな楽しみだったようです。

子供のころに一緒に連れて行ってくれたこともありました。

映画を観たあとの洋食屋さんでの食事は私の楽しみでもありました。

 

子育てが終わってからの母は、

映画館でも観て、気にいったらビデオをレンタルして

また観るということをしていました。

今はネットで映画もドラマも観たいときに好きなだけ見られますが

40年ほど前は、ビデオをレンタルして観るというのが主流でした。

好きなだけ映画ビデオを買いそろえればいいのですが、

レンタルしたほうが安く沢山の映画を観ることができるので

もっぱらレンタルのHapoさんでした。

しかし、1週間のレンタル期間だと時間が限られて何度も観られません。

そこで思い立ったのがダビングです。

もともと再生するためのビデオデッキは1台ありましたが、

ダビング用にもう一台購入したのです。 

購入した近所の電気屋さんに設置はしてもらったものの

操作方法は取り扱い説明書を熟読して覚えました。

それからはいつでも好きな映画を観られる! と

休日は映画再生と自家用ダビングを楽しんでいました。

 

当時は映画サークルにも入会していて、

年に1度は映画撮影所の見学へ行ったり

映画を観た感想を会報誌に書いたりしていました。

40代後半からのHapoさん(母)の趣味は

映画観賞とビデオデッキの操作だったようです。

 

洋画は吹き替えより字幕のほうがお気に入りで

戸田奈津子さんの字幕はスパッとしていて好き!と よく言っていました。

短い字幕のなかに、ぎゅっと言葉を凝縮しているのがすばらしいし

来日してきた俳優たちが戸田さんを慕っている姿を見るのもいいと言います。

 

そして女性字幕翻訳家として素晴らしい生き方をみて

「nokoの名前を戸田さんにちなんで奈津子ってしようかと思ったのよ」

 

あらら、そんな光栄な名前になったかもしれなかったんですね、ワタシ。

と聞いていたものの、戸田さんはHapoさん(母)より年下だし、

映画字幕翻訳のお仕事をはじめたのは私が生まれたのよりずっと後のことのはず。

 

時系列の食い違いがあるものの、映画を観るのが好きだったし

戸田さんのお仕事ぶりに感銘していたのは本当のこと。

 

奈津子という名前にはなれなかった私ですが、

そんな風に生きていってほしいと

願うHapoさん(母)の気持ちは伝わりました。

 

今は目が疲れるからとテレビも観なくなったので

映画を観ることがなくなった母ですが、

俳優さんの名前がすぐに出てこないこともありますが、

セリフや筋書きは昨日見たように覚えています。

 

母から映画の話を聞くのが、今の私の楽しみになっています。