Hapoさんの内視鏡検査の日。
長い待ち時間でした。
こちらが黙っていると、
「さあ、もうすぐだ。覚悟しなきゃあ。」
と ぶつぶつ言いだすHapoさん。
検査が辛くてそれを紛らわすつもりなのに、
逆効果で肩にどんどん力が入ってきている。
これはマズイと話しかけていると、
Hapoさんの方から
その日私が着ていた服や手に持っていた袋のことを聞いてきた。
端切れを縫い合わせたキュロットスカートを見て、
「端切れで作ったの? すごいわね。」
↓ この時の刺繍をした手提げをみて、
「あら、その手提げも自分で刺繍したの?」
と丸い刺繍を順に指でなぞっている。
「いろんな形があるわね~。」と嬉しそう。
「Nokoちゃんは、まめったいわね~。なんでも作るのね~。」
それを聞いて、
「Hapoさんだって子供服作ってくれたじゃない。 残り切れで手提げも作ってくれるのが楽しみだったわ。ギンガムチェックの布の胸元にスモック刺繍してブラウスも作ってくれたし、アフガン編みのカーデガンも編んでくれたわよね。仕事をしていたのに、色んなもの作ってくれて嬉しかったわよ。」
「そうね、洋裁や手芸をするのは嫌いじゃあなかったわね。」
「そういうの見てたから、私もいろいろ作るのが好きになったのよ。ありがとうね。」
病院での長い待ち時間が、手芸談義になって楽しいひとときになりました。
よかった~。
と喜んでいたら、いよいよ検査に呼ばれました。
検査室に入って、10分で検査終了。
待ち時間の方が圧倒的に長し!!!
せっかく笑顔になっていたHapoさん、絶不調でお戻りです。
覚悟してたんだもんね。
がんばったんだもんね。
もう手提げ袋の刺繍を見ても何も言いません。
代わりに私のキュロットスカートの布を指でつまんで
「ほこりがついてる。」ですって。
いえいえ、それ布のネップです。
糸がでっぱってますけど、引っ張っちゃあだめです。
ずっと下を向いているから落ち込んでいたのかと思ったら違ったみたい。
「Hapoさん、目がいいわね~。」
「そうね、まだ見えるわね。
検査の画面は怖くてずっと目をつぶっていたから何もみえなかったけどね。」
いやいや、自分の現状をちゃんと見てきてほしかったんですけど。
まあ、次回の診察で画面をちゃんと見てもらいましょうね。
それにしても2週間前のHapoさんは、私の服に興味を示すこともなく
会話も弾むことなく私が帰るときも背中をむけたままだったのに
この日は、笑顔で手を振ってくれました。
転居してはや1ヶ月、少しづつ自分のペースをつかめてきたようで何よりです。