満開の桜が昨日の雨で散り始めてしまいました。
春ははかないものですね。
桜ではないけれど、春の思い出をひとつ、ふたつ。
1988年2月28日に転職のため実家から県外へ引越しました。
暮らし始めたアパートの隣は一軒家で、
その玄関先にあった沈丁花が花盛りでした。
その香りが これからはじまる一人暮らしへの
エールのように感じました。
今でも沈丁花の香りが漂ってくるとあの日のことが思い出されます。
「沈丁花引越し祝いの香りかな」
勤め始めた会社の最寄り駅を出たすぐのところには
大きな辛夷の木がありました。
固かった蕾が徐々に開く姿を眺めていると、自分が重なりました。
ふるさとは温暖な地で帰りたいと思っていたわけではないけれど、
心の中で歌いながら通勤していました。
「転職す辛夷の花に励まされ」
自分で植えたり育てたりしたわけではないけれど
「勝手に記念樹」だと思っています。
その年の4月8日は関東地方で大雪になり春に降る雪を体験しました。
手袋とロングコートを慌ててに買いにいきました。
それまでは雪の降らない温暖な地で暮らしていたので
ショートコートしか持っていなくて
手袋は長年はめたことがありませんでした。
「手袋を初めてはめた転勤地」
いま、手袋を「はめる」と書きましたが、日本中で使う言葉ではないようですね。西日本で多い言い方で、関東では「手袋をする」北日本では「手袋をはく」ということが多いようです。小学生のころまで関西に住んでいたので三つ子の魂の影響か、自然に「はめる」と言っています。
普段は忘れてしまっていることも
植物やその香りに記憶の糸を手繰り寄せられています。
もどれないことだけれども
思い出せることがあるって幸せですね。
その後も引越しを何度かしているものの
同じ市内に住んで35年が経ちました。
思えば人生で一番長く住む地になりました。
わたしのふるさとはここになりつつあります。