言葉の国のお菓子番 シリーズ三弾
「森に行く夢」を読みました。
小説の中で連句も繰り広げられて
一粒で二度美味しい、
いや美味しいお菓子も登場するから
三度おいしい小説ですね~。
四話に登場する歌仙「人のむづかし」が素晴らしいんです。
36句もの歌を小説の筋書きをとして創り出すなんてすごいし、
歌仙の様子がとてもリアルだと思ったら、
実際に俳人、文人たちと巻いた歌仙を一部変更したものだそうです。
36句のどの句がどなたの歌なのかと想像するのも面白そうです。
舞台になっている東京の地名に馴染みのある所なのも
読んでいるうちに小説の世界に入り込みやすく
一緒に歌を詠んでいる気持ちになりました。
「山笑えども人のむづかし」
歌仙のタイトルになっただけあって
しみじみいい句だと思います。
連句をする集まりは月に一度。
お話しのなかで初心者の方がときどき参加するので
その都度連句の決まりごとの説明があります。
*連句は世界を大きく「人情あり」「人情なし」のふたつに分ける
*人情なしは人が出てこない句で「場」と呼ばれる
*人情ありは、自分のことを詠んだ「自」、他人を詠んだ「他」、自分と他人の両方でてくるのは「自他半」と呼ばれる。
*連句は次々と新しい場所にすすむのをよしとする。
*前の句には付くが、前前の句とは離れる。
*前々の句を「打越」と呼ぶ
*「打越」と「自他場」が重ならない(続かない)ようにする
などなど、、、もっと決まり事があるのですが
小説の中では「捌き」と呼ばれる主人(リーダー)が教えてくれています。
さて、お楽しみの「お菓子」も忘れてはいけません。
・赤坂 御菓子司塩野 「桜干菓子」
・向島 志”満ん草餅 「餡いり、餡なしの草餅」
・谷中 御菓子司喜久月 「あを梅」
・麻布 昇月堂 「一枚流し麻布あんんみつ羊羹」
・両国 越後屋若狭 「水ようかん」(ホームページなし電話予約のみ)
・上野 風土菓桃林堂 「和ゼリー」
お菓子のほかにも
が気になりました。
国立天文台はドラマ「A Table!~ノスタルジックな休日~」にも登場していましたね。
連句は正解のない分岐の連なり
いつもとちがうところに行けば、
ちがうものとの出会いがある
主人公が「ほんとうにそうだなぁ」と言っていましたが
ワタシもそう思います。
変らぬ日常も愛おしいけれど
ちがうものとの出会いも楽しい。
その出会いがほしくて実世界でも初心者OKの連句の会が
近くないかしら~と調べてしまいました(^^)
連句のなかでいいなぁと思った句をもう二つ。
まぼろしの店現れる夕暮れに
夢でやさしく撫でるかいらぎ(梅花皮)
シリーズの続きを早く読みたいと思うものの
5巻で終わってしまうので
じっくり、
ゆっくり味わって読んだ方が良さそうです。