西條奈加さんの『まるまるの毬』を読み終えました。
お菓子の甘さと共に漂う「家族の温もり」を感じる本でした。
諸国の珍しいお菓子が登場する楽しさに惹かれ、
読み進めるうちに、
それらのお菓子がバラバラだった家族の心を
ひとつに結びつけていく過程に、読み応えを感じました。
数あるお菓子の中でも、特に「松風」の場面が心に深く響きました。
表面にはケシの実が散らされ香ばしいのに、
裏側には何もない。その「裏(浦)が寂しい」という由来は、
登場人物たちが抱える孤独や、
隠し持っている過去と重なり合っているように思えます。
ハラハラする展開もありましたが、
寂しさを抱えているからこそ、
寄り添い合う三世代の姿は、
手間暇かけて作られたお菓子の優しさそのものでした。
江戸時代から変わらぬ製法で、
今も「松風」を作り続けている老舗が京都や熊本にあると知りました。
百貨店にある銘菓コーナーへ足を運び、
『裏寂しい』松風を探してみたいと思います。
物語の中の江戸の風情を、
一枚のお菓子から感じられる日が今から楽しみです。
そして、
西條奈加さんの作品を続けて読んでみたくなりました。
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