・ムーライト・イン 中島京子/著
・たゆたゆとも沈まず 原田マハ/著
・編めば編むほどわたしはわたしになっていった 三國万里子/著
・しあわせしりとり 益田ミリ/著
11月最後に読んだのは益田ミリさんのエッセイでした。
日常の中に埋もれているささやかな幸せの瞬間を、静かに、そして温かく描き出す一冊です。本書のタイトルにもなっている「しあわせしりとり」という発想がユニークで心惹かれました。
普通のしりとりは言葉を繋いでいくだけですが、このエッセイで繰り広げられるのは、「しあわせなもの」だけに限定して繋いでいく、「やまね」の次は「ねじ」のように脈略がないようだけれどミリさんにとって「いいな」「しあわせだな」と感じられる瞬間やアイテムなのです。 でも、なんで「ねじ」? ぐるぐる回して何かを止付ける時に幸せを感じるのかなぁ~? この遊び心が、自分の「しあわせなもの」を振り返るきっかけを与えてくれます。
ワタシのしあわせしりとりは? 「ワタシ」「しいたけ」「ケチャップ」「プリン」!あっつ!!! あっという間に終わってしまいました! 幸せまだまだ続くはずなのに言葉にすると難しいものですね。
そんなしりとりをしたのも良い日だろうけれど、「特に何もない日は好い日だ」と静かに考え日もあります。ミリさんの派手な出来事ではなく何事もなく過ぎていく平凡な一日を「好い日」として受け止められる姿は、日々が平穏であることこそが大事だと思い出させてくれます。「何もない」穏やかさ自体がかけがえのない幸せなんですよねぇ~。
そして、エッセイの中では、亡くなったお父様への思いが綴られます。ふとした瞬間に思い出がよみがえり、つい空に向かって話しかけてしまうミリさんの姿を自分に重ねます。
「空がなかったら、どこを見ればいいんだろう。空があってよかった」
大切な人を失った悲しみや、会えない寂しさ、そして伝えたい気持ちのやり場として、見上げる空の存在はあまりにも大きいです。空の存在への感謝は、愛する人との繋がりを失っていないという感情を表現しているようです。
『しあわせしりとり』は、特別な物語があるわけではないけれど、ミリさんの眼差しを通して、自分のすぐ隣にある小さな幸せや、大切な人への尽きることのない思いを再確認できます。日常のささやかさを慈しむことの大切さと、空のように大きな安らぎの存在を感じさせてくれる、心温まる一冊でした。
心がモヤモヤする時はいつもミリさんの本がそっと慰めてくれます。