山種美術館で開催中の「福田平八郎 ✕ 琳派」へ行ってきました。
どの作品もそこにある。
描かれているのではなく、
そこに「ある」リアルを感じた。
画家自身は、
「リアルを信念として貫く方向を辿った」という。
この日ワタシが感じたリアルは
「福田平八郎」の信念だったのだと思うと
会ったことのない画家が
すぐ隣で絵筆を持っているような姿が見えてきた。
「牡丹」の前に立ったときは、
藪漕ぎをしながら険しい山道を登った先に
この牡丹の花が目の前に現れたようで
ひと時、山の中にワープした気分でした。
実際は、山の中にある牡丹ではないのでしょうが、
ワタシの中ではそう見えていたのです。
「紅白餅」の絵は、
そのタイトルがなければ
ポップなテキスタイル柄にも思えた。
けれど、「餅」のやわらかさを確かめたくて
プニュと指で突きたくなった。
「すすき」
ふるえたような線で描かれた穂。
スッとためらいのない葉の直線。
色鮮やかな作品が多い中で他の絵と比べると
物静かで地味な作品なのに
ぐっと掴まれました。
この絵の前で過ごす時間が一番長かったのは、
ススキ野原の風を感じていたからかもしれません。
どの絵を見ていてもストーリーが生まれてくるリアル。
装飾的な構図やたらし込みの技法などに影響を受けたことが伺える後半の琳派とのコラボ展示も興味深いものでした。
古美術を讃嘆し購求愛蔵するにとどまらず、後輩の、なかでも吉岡堅二の作品に強い感動を受けたといいます。
かつて、福田平八郎が小学生の絵を模写した作品をみたことがありますが、それも後輩たちの作品に感動を受けたからなのでしょうね。
絵の魅力って何なのでしょうね。
画家の絵に対する思いを、情熱を、
すごく感じる展覧会でした。
いつの間にか「福田平八郎推し」になってしまったワタシの
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