親王(みこ)の夢と現実が入り混じったお話で今はどこにいるのか足元がおぼつかなくなるような気分でした。 うっとりと一緒に夢の中にはいってしまったのかもしれません。 不浄なものがいくつか登場して、なかでも良い夢を食べた糞は香しい匂いを放つという場面がなんとも面白かったです。 それも糞とは知らずに嗅いでいるのですから。
平安時代に生きた親王の骨のことを「プラスチックのようだ」と例えているところが気にかかるも、そこには明らかに現代に生きていた作者が居たように思います。
親王は仏門の人なのか?と疑いたくなる言動も幻想ゆえなのか、、、。真珠に固執した親王の行動も作者の病状が反映されていたとつくづくと感じました。天竺を目指したいと思う気持ちもまた夢の中だけでのことで現実にはそれを願っていたわけではないのかもしれない、悟りをひらいていそうで、じつは生きることへの執着を表現したかったのかもしれない。表と裏、本音と建て前、、、本質とは何か?、、、作者の意図するところを感じ取れたのかどうかはわからないけれど、新年一作目としては読みごたえのある作品で、去年の秋に鎌倉文学館の展示で知った「高丘親王航海記」を読むことができてよかったです。
「”東へ”と大きく書かれたTシャツを着て旅番組のロケをしていた」ワタシの初夢は、方角は違うものの親王の天竺への夢が重なったのかもしれません。
せっかくですから、今年は「東へ」の旅を計画してみたいと思います。
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今週のお題「初夢」