≪カレー散歩≫
おかあさんはもう台所にたたない。
カレーは作ってもらったよりも
作った回数のほうが多くなった。
≪川風の町で≫
ひとづきあいは波のようだが
浜でぼんやりしているのは変わらないから
いずれまた近しくなるときもある。
≪ともだちごはん≫
ごはんに呼んでもらって
体のため食べるに食べるごはんと
心のために食べるごはんがあると知り
なかなかお返しできないことを
うしろめたく思っている。
(月と菓子パン 石田千 2004年4月30日)
もともと短いエッセイのほんの数行にぎゅっと心をとらわれる。
・久保田万太郎 句集 成瀬櫻桃子 編
・ぜんまい屋の葉書 金田理恵 /著 筑摩書房
紙物の片づけをしていたら
はしり書きのメモ紙があった。
2004年の日付は本を読んだの日か、
その本が発行されたときなのかも
いまとなってはわからない。
本のなかで見つけた
これから読みたい本や
こころに響くことばを書き留めていたのだと思う。
メモは捨てて、代わりにここに書いておこう。
そうすればまた読み返すことができそうだから。