上野リチ展を観て気になったのが、「ウィーン工房」という存在。
バウハウスとか、ウィーン工房とかデザインのことで
耳にすることがあります。
工房っていうからには、何か作っていたのですよね。
名前は聞いたことがあるもののその実態はよくわかっていません。
そこで
「ウィーン工房 / 角山朋子・著」を読んでみました。
1903年に設立したウィーン工房は1932年に経営難により会社は解散しました。
ウィーン工房で生産された美しい日用品は美術工芸品と言われ感性的な仕上がりだったそうです。
言い換えれば贅沢品で非常に はかなく非現実な物だということかもしれません。
1925年に開催されたパリの現代産業装飾芸術国際博覧会で展示されたウィーン工房のコーナーについて当時の新聞では「腐敗したファンタジーの過剰な遊戯性から離れるべきだ」と批判されています。貴族趣味と言われながらもこの博覧会によって海外への販路を見出し経営が立ち直るかに思えたものの 世界恐慌の影響を受け1932年に会社は解散しました。
資産家による資本援助により設立し、その資産家が破産して経営から手を引いたり
設立当初から経営的にはずっと崖っぷちに立っていたような組織だったようです。
芸術家と工芸家がともに製品をつくるというコンセプトは良かったのでしょう。
もし、経営がうまくいっていたら、、、
デザイナーたちが組織に入ることなく単独でデザイナーとして仕事をしていたら、
現代のデザイン界にまたちがった影響を与えていたのでしょうか。
デザインすることとそれを工業製品として量産し売り上げることは
今も昔も経営の要なのでしょう。
「優れたものを作りたい」
「美しい日用品をつくりたい」
という思いは今も昔も変わらないということでしょうね。
組織として29年間しか活動していなかったウィーン工房が100年近く経つ現代へも影響を持ち続けているようです。
上野伊三郎とリチさんが結婚して日本で活躍していなかったら
ウィーン工房の日本への影響は今ほどではなかったかもしれません。
そのウィーン工房の作品の多くは
オーストリア国立応用芸術博物館(MAK)に収蔵されています。
日本語訳のページはコチラ ↓
Tourismus JP - MAK Museum Vienna
ホームページでは3Dのバーチャルツアーやコレクションなどを閲覧できます。
コレクションのページで「Rix, Felice」を検索すると
リチさんの作品の数々を見ることができました。
居ながらにして作品を見ることができるなんて、ホント便利です。
ウィーン工房の人たちが現代に生きていたらデジタルコンテンツを
極めていたのかもしれませんね。