今から20年前に、母は白内障手術をしました。
すでに一人暮らしをしていた母は、
2週間入院して両目の手術をしました。
当時でも日帰り手術は可能でしたが、
「一人暮らしだから」と言って入院を希望しました。
どこの病院で手術するかは、ご近所さんの口コミで評判のいいところを探し
娘に負担をかけないように、全部自分で決めていました。
それでも入院中に一度、見舞いに行くと
「来なくてもいいのに」と言いつつも、
屋上の洗濯物の取り込みを手伝って欲しいと言いました。
当時はレンタルのパジャマが無く、自分で用意して家族や家政婦さんに
洗濯をお願いしていましたが、母は病院のコインランドリーを利用して
自分で洗濯をしていました。
「片目で不自由なだけで、体は動くからねぇ~」と言って。
さすがに退院の日は車で迎えに行くと
見える世界が明るくて、くっきりしていて気分が盛り上がり
そのまま私の住むところ(都会)へ買い物に行きたいと言い出しました。
買い物にこじつけて、自分の家に帰らずに、私の家に来たのは
退院後にひとりなのは、やはり不安だったのかもしれません。
とはいえ、都会の買い物や人混みに疲れぐったりして
早々に家に帰りたいと言い出していました。
一人で帰るという母にあとひと晩泊れば週末だから、
それまで待ってもらって
再び車で母の住むマンションへ送りました。
その夜は「もういくつ寝ると~ 帰れるの~♪」と歌います。
知らぬ土地で昼間一人でいるのもつまらなかった様子です。
そんなことも、あったなぁ~と私は思いだすものの、
母はちっとも覚えていません。
白内障の手術をした後に自宅のトイレに入ったら
壁紙が小さな花模様だったことに驚いたことは今でも言います。
そして部屋のホコリに気づいてしまったことも。
まあ、ホコリがあっても生きて行くのには
さして支障はないわね、というのが母の言い分です。