どちらも本の題名です。
正月なので、お初の作家さんの作品を読んでみました。
先ずは、野口卓さんの「ご隠居さん」
江戸時代には鏡研ぎという職業があったのですね。
ある老人が鏡研ぎをする先で小噺やうんちくを話して重宝がられる。
そのうんちくがちょっとくどいなと思う場面もあったけれど
最後に主人公の老人が鏡研ぎになったいきさつを知ると、なるほどと思える。
落語とのコラボ作品。
もとになった落語を知っていればもっと面白みが深まるだろうなと思えた。
もうひとつは、松田青子さんの「おばちゃんたちのいるところ」
初めは、登場人物の設定が理解できなくて???だったけれど
突然パズルのピースがはまりました。
このお話しって歌舞伎のアレのこと? なんて思って読み終わってみると、
巻末に作品のモチーフになった歌舞伎や落語の題目が書かれていました。
あれ?
この2冊とも古典芸能をモチーフにして書かれていた作品だったんだ。
「人は真似ることで成長する」という言葉を聞いたことがありますが、
ベースがあってそこから変身してちがうものになっていくのかしら。
古典へのオマージュ?
そしていつか現代文学も古典になるときが来るのかな。
100年前の作品だって読むことができるのだから
言葉が繰り返し、語り継がれて、
形を変えて深層では同じ気持ちを共有していくんだろうな。
文字で読むのも楽しかったけれど、
芸能ごとは、生で観て、聴くのがいちばん楽しい。
はやく寄席や舞台に行きたいなぁという思いに駆られる本でした。