季語 去年今年 で俳句を詠みたいと毎年思うものの
思うだけにとどまっている。
高浜虚子・「去年今年貫く棒の如きもの」
去年今年という季語を毎年想い、心の芯にあることが、
ただ一日が終わり、一日が始まるだけのことに
少し色を添えているような気になる。
もうすぐ去年になってしまう2020年大晦日に読み終えたのは、
「もう一度見たいドラマ」のお題で書いた記事に頂いたコメントで知った作品。
教えてくださってありがとうございました。
新田次郎といえば時代小説、山岳小説で名が知れている作家で、
アイガー北壁を読んだときは、足元の震えを感じたこともある。
作家自身の孫のために書いたというこの少年小説は、
大人になった今読んでも十分に面白かった。
TVドラマ化された当時に、その番組を見た記憶がないのは
思い違いなのか?、
小説を読み進むも、やはりTVは見ていなかったようだ。
なぜ、見ていなかったのか?
微かな記憶を辿ると、Hapoさん(母)がTV禁止令を発令したからかもしれない。
一時期、TVは悪という風潮があり、母もそれに便乗しTVを見る機会がなくなり、
見ないならとテレビそのものを処分した期間があった。
時系列の記憶は定かではないけれど、中学、高校生のころだったような気がする。
そして、テレビが復活しても夜9時以降に見ることの禁止は続き、
学校で「勝手にシンドバッド」の歌マネをする同級生を見て、
サザンを知らぬ私は、
なんだそのリズムは!とびっくりしたことは、はっきりと覚えている。
ドラマを見ていないので、その映像はわからないが、
主人公の少年と海のロケは大変だったろうなと思う。
少年と書いたものの、考えがしっかりしていて
他の大人たちより本質をとらえていたように思える。
それが、作者から孫へのメッセージだったのかもしれない。
ラストシーンでの少年の判断力には恐れ入った。
この本を読み終えて、この作品に出会えたこともよかったが
解説が中島京子さんだったのも嬉しかった。
同世代の中島さんが、同じような感想を述べられていると、
同志を得た気分になる。
そして、中島京子さんの作品も読みたくもなってくる。
読書の連鎖反応。
去年今年読書三昧つつがなく
新しき年が佳き日々になることを願います。