退院したHapoさん 2日目。
明日の午後には施設に引越しをする。
そのスケジュールはすでに伝えてある。
昨日から
「今日は何日? いつ引越すの? 今日? 明日?」と
何度も聞いてくるHapoさん。
施設に入るという環境の変化への不安がそう言わせているのだと思う。
知らない人が見れば同じことばかり聞いてボケちゃってるんだね、
と思うかもしれないけれど。
耳が遠くなり会話の反応が遅くなっているものの、状況の把握はできているし、
なんと言っても、娘をしかる母ぶりは健在ですし。
引越しの荷物を決めるためにあれこれ聞くものの、気乗りしないのでベッドに横になったまま、私が見繕った服を見て「そんなに要らない。パジャマと下着だけあればいい。できれば病院にいた時みたいにレンタルで過ごしたい。」という。
転居先にはそういうサービスが無いこと、洗濯を含め家事全般はやってもらえることを再び説明する。この部屋から自分のものを持っていくことが、自分の場所が無くなることに思えて辛いのだと思う。
引越しをしても、コロナが落ち着けば外泊もできるから、この部屋に戻ってこれるからね、行ったきりって思わないで、別宅が増えたと思えばいいんだよと言うものの 今はそんなことを考える気力が無い様子。
このまま、一人でここに住むことの不安はあるし、仕方ないね、
と最後は落ち着く。
こんなやりとりを何度も繰り返し、ようやく荷物をまとめた。
どうなるか解らないのは、Hapoさんも私も同じ。
ぼちぼち、ぼちぼち やりましょう。
この日は朝から天気が良くて、お出かけ日和。
何気なく「ドライブに行く?」と聞くと「行く。」と答えるHapoさん。
近くの秋景色を見に30分ほどのドライブをする。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」
私に、この言葉を教えてくれたのはHapoさんです。
そんな出来事をHapoさんは、覚えているのかいないのか
車の座席で座っているのが辛くて頭を下げているHapoさん。
疲れちゃったね。
そろそろ家に帰りましょうね。